犯罪者の収容

 社会安全部において逮捕された一般事犯や密造酒製造者・闇取引群等のいわゆる非社会主義犯罪者中、重犯罪者は、裁判を通して教化所に収容し、非常習の単純窃盗犯や1,000ウォン未満の経済事犯等の軽犯罪者は、担当地域の安全部長の決定と該当安全部管轄検察所の確認だけで労働教養所に収用する。労働教養所収容者は、正式裁判手続を経て、収監される犯罪者ではないために、たとえ個人文件に収用事実が記録されても、出所以前の職責に復帰が可能である。これとは別途に、無賃乗車・勤務怠慢者等、各種規定違反者に対しては、取締現場から直ちに経済労働集結所に移送し、15日〜6ヶ月間の強制労働に従事させる。

 これと国家安全保衛部では、政治犯に対して、「特別独裁対象区域」と呼ばれる管理所に収監する。最近になり、一般刑事犯中においても常習犯や経済犯に限っては、管理所に送るものと知られている。
 

<北朝鮮の犯罪者収容施設>

区分内容収容期間
管理所
(特別独裁
対象区域)
政治犯・常習犯等、体制時のため長期間管理する必要性があると判断される対象者を収容する特殊行政区域10年〜永久□社会安全部と国家安全保衛部に2元化
□完全統制区域と革命化区域に区分、革命化区域収容者は、出所可能
教化所裁判を通して懲役刑を宣告された者を拘禁6ヶ月〜15年□労働教化対象者は、強制労働に従事
労働教養所裁判なく軽犯罪者を収容し、労働を通した思想改造を誘導15日〜6ヶ月□非前科者
経済労働集結所安全部の捜査手続きなく無断欠勤者等の各種規定違反者を収容。無報酬経済労働に従事15日〜6ヶ月□市・郡及び連合企業所単位に設置

(1)被疑者収容施設

 社会安全部は、一般刑事犯と闇取引犯・密造酒製造犯等、いわゆる「非社会主義者」を拘束した後、市・郡安全部内の拘留場に9日〜3ヶ月間収用して、捜査させている。政治犯に対しては、国家安全保衛部において、別途に捜査させている。

 このような犯罪事実有無究明を予審するために、予審機関としては、市・郡・区域安全部拘留場と道安全局集結所がある。

◇拘留場

 拘留場は、縦3m、横3mの正方形の監房で構成されている。床は、厚板とされており、前面は、直径3cm程度の鉄筋で鉄格子が設置されている。各監房ごとに便所と監房を遮断できる鉄板のドアが設置されている。

 拘留場収容被疑者は、0500に起床(夏季0600)し、2200に就寝(夏季2300)する。食事時間外には、膝をついた後、両手を膝の上に上げておき、頭を45%傾けた状態で過ごさなければならない。化粧室の使用等、用件が有れば、手を入れて許しを得なければならない。監房で収監者が承認なく動けば、一緒に収監された全員に連帯責任として食事量を少なくするか、暴行することにより、収監者が互いに監視し、動く者が発生した時、直ちに報告しなければならない。従って、看守が熱心に勤務せずに、居眠れば、座る椅子で服を着用した状態で用便を足す場合にも発生する。

 食事は、毎食120〜150g(トウモロコシ粉と大豆の混合)に塩だけを支給し、5分内に完了しなければならない。このために、大部分の拘留期間、栄養失調にかかる。

◇集結所

 市・郡・区域安全部に予審期間中、犯罪者が犯罪の事実を是認しなかったときは、釈放することはなく、道安全局集結所に移送する。このとき、犯罪者を区域病院において身体検査した後、個人の犯罪関連陳述書と病院健康検診表を携帯させ、市・郡・区域安全部長、検察所長の承認を受けた状態で入所させる。

 集結所拘留期間は、通常、100日だが、集結所勤務予審員により、期間に関係なく延期が可能である。

 集結所に収容された人間は、昼間に採石場、副業場作業等の強制労働をさせ、夜間にだけ、予審員により犯罪事実の審問を実施するか、相互批判をさせ、犯罪者同士暴行をさせることによって、自身の犯罪事実を陳述するように誘導する。それでも陳述を拒否すれば、屈み飛び、窓格子にぶら下げたり、膝の内側に棒を差し込み、叩く等、各種拷問を行うことによって、なかった罪目まで作り上げ、陳述させるようにする。

 1990年年からは、担当安全員が犯罪者の犯罪事実を1年に3名以上明らかにできず、無罪で釈放すれば、除隊させる等の処罰を強化しているという。このため、母子、婦女と一緒に集結所に収容されたときは、相互に裸にしておき、互いに殴打させる等、人権蹂躙の実体は、言葉で表現するのが難しい実状である。

(2)管理所

 1995年6月現在、北朝鮮には、「○○号管理所」として一連番号が付与された計10ヶ所の管理所が咸南(耀徳・端川・徳城)、咸北(化成・清津・会寧)、平南(价川・北倉)、平北(天摩)、慈江(東新)等、5個道に設置されている。

 その間、保安漏泄、具体的な人権是非等により数次に渡り、統廃合するか、移転した。

 総括的調整・統制は、国家安全保衛部収容所管理局であるが、警備は、社会安全部傘下の人民警備隊で担当している。一部管理所は、社会安全部で管理している。社会安全部管理所は、主として常習犯、巨額経済事犯等、非政治犯が収容対象である。

 収容所の規模は、51〜250km2で、罪質により、「完全統制区域」と「革命化区域」に区分、5千〜5万余名ずつ収容している。「完全統制区域」は、反党・反革命・宗派分子や海外逃走企図者を収容するところで、終身収容する。収容1〜5年経過後、審査を経て、出所可能な「革命化区域」は、不穏北送僑胞や党政策違反者及び自由主義性向者等が収容される。

 総収容人員は、約20万名程度と知られている。

 管理所は、裁判手続なく、書類審査のみで収容の可否が決定される。党幹部等、除名人事は、犯罪事実を留保、世論を誤らせ、財産没収後、家族まで夜間に移送する。

 出所は、2月16日、金正日の誕生日を契機に出所式を開き、期間となった収容者を出所させている。普通、国家安全保衛部の局長級が参加する出所式は、あたかも大行事のように進行する。「今まで親愛する指導者金正日同志の配慮により革命化を終え、新しい政治的生命を受けた同務達の名簿を発表する。」で始まる出所式は、名簿発表と公民証授与等、一種の様式行為を経て行われる。収容所出所式には、収容所内の生活実状を一切漏泄しないように、誓約書を取り、誓約内容に違反した場合、再収監措置を行う。

 収容所出所者は、炭坑又は集団農場に配置されるのが原則で、北送僑胞又は賄賂を提供した一部の者は、工業地域に配置されることもある。

 また、出所時、公民証に「○○○○警備隊農場員」という別途の記録が表記され、一般社会活動に制約要素として作用し、刑事犯罪を犯した場合、10年が加重される。

 警備は、警備隊員がAK自動小銃と手榴弾等で武装、勤務している。脱出防止施設としては、平野地帯の場合、2〜3mの塀(塀の上には鉄条網)、山があるところでは、3〜4mの高さの鉄条網が設置されている。また、地帯が狭いところは、電気鉄条網で、高山地帯には、2mの高さの鉄条網により罠とブナ科の木で作った槍を設置した。鉄条網に沿って約1km間隔で約7mの高さの監視望楼哨所があり、監視望楼には、機関銃まで夢想した警備隊員が軍用犬2匹と一緒に外郭巡察及び待ち伏せ組を運用し、昼夜警戒している。

 脱出者発生時、無差別に射殺し、逮捕時は、公開銃殺又は絞首刑に処する。保衛員を殴打した者まで含めれば、1ヶ所の管理所当たり年15〜20名程度が死刑されていると知られている。

◇統制の連続した一日の日課

 朝5時に起床し、6時まで朝食を取った後、作業準備を完了し、作業班室や宿舎の前に集合しなければならない。このとき、少しでも遅れて出てきた場合、強い殴打を受け、家族世帯の場合、月支給食糧から1日分を控除する。

 作業は、組別に夕方8時まで実施する。昼食は、管理所の事情や作業の性質により、作業現場で取り、食堂又は自分の家で取ることもある。作業が終われば、担当保衛員や監督、人民班長等が割り当てられた作業結果を点検する。このとき、作業目標に達しなかった場合、延長作業を行う。延長作業は、夜9時頃終了し、10時から1時間、思想教養後、11時に就寝する。

 労働は、主としてトウモロコシ農事と外貨稼ぎのための採掘、山菜採取、加工用木材伐採等の重労働である。労働時間は、1日、普通、11時間以上で重患者も作業に出なければならず、いくら体が痛くても労働現場で死ぬことを強要される。1日の作業量は、11時間継続して、終わる程度の量である。

 休息時間ではない時間に休み、監督や保衛員に発見された場合、作業量を全て終えても連帯処罰を適用し、その者が属していた5人組は、家に帰れず、延長作業を行わなければならない。

 作業現場には、警備員が自動小銃を持って監視しており、雑談を行うか、怠けた場合、無慈悲な殴打が後に続く。

 

<日課表(農場員の場合)>

時間内容
0500起床(冬季には0600起床)
0500〜0600食事、作業準備
0600〜0630作業班及び合宿所確認員が人民班長と人員点検
0630〜0700分組又は5人組別に作業場に移動
0700〜1200午前の作業
1200〜1400昼食
1400〜2000午後の作業
2000〜2030作業班室前で作業叢話
2030〜2130夕食
2130〜2200人員点検
2200〜0500就寝(通行禁止)

◇服は布の切れ端を4、5回縫って使用

 家族世帯の場合は、収容期間中、毛布1枚と冬服1着を支給され、3年に1回ずつ作業服を供給されるが、独身中隊は、収容当時着ていた衣服1着で生活する。作業を行うための労働靴は、1年6ヶ月に1足、冬の綿入れ靴は、5年に1回供給され、靴下やパンツ等の下着は、一切支給されていない。

 全ての収容者が布の切れ端を縫い合わせて着ている。冬の季節には、顔、手、足等を布きれで巻いており、凄惨な姿は、目も当てられない境遇である。

 冬の季節には、沐浴をすることができず、シラミ、ノミ等がうようよし、発疹チフスが自然発生、服が凍てついた後、叩き出す方法で捕まえる等、衛生環境も劣悪というほかない。

◇温食は「テガリスンデ」が最高級

 家族世帯には、成人1人当たり、主食としてインゲン豆550gを提供し、副食物として塩と週1回ドングリ味噌1匙を配給する。また、作業怠慢等を理由に数回食糧を控除し、半月後には、食糧がなくなり、山菜、草の根、木の実等で延命しなければならない。独身中隊に収監された犯罪当事者場合は、1日インゲン豆が360gと塩だけを提供し、作業怠慢を理由にさらに90g控除することにより、通常1年の収容期間中、15gずつ体重が減少するという。

 毎年1月1日(元日)に胴のないスケトウダラの頭の中にダイコンの干葉を入れた別名「テガリスンデ」という特食を提供されるが、肉類と糖菓類を食べることができず、大多数が栄養失調でペラグラ病、結核、肝炎等の疾病にかかっている。従って、栄養補充のため、カエルの卵を食べるか、ヘビ、ネズミ等に近寄って捕まえ、食べる状況である。特に、ペラグラ病にかかった者は、ブタの飼い桶や牛の飼い桶にあるインゲン豆や豆の葉を与え、甚だしくは、鉄桶の中にあるインゲン豆や大豆を探し出し、洗って食べる者もいる。

 春になって、新芽が出てくれば、種類を選ばずに採って食べるため、毒キノコや毒草を食べ、顔がパンパンに腫れて苦しむ事例が数多い。甚だしくは、死亡することも多い。

◇最悪の住居環境で生活

 家屋は、独身中隊の場合、幕舎で集団生活をさせられるが、家族世帯の場合、収容者が土壁石と板、筵を利用し、自分で作って居住する。このため、板が腐って雨が漏り、床面と壁は、土を練って塗り込めた関係で埃が多く出る。床は、毛アムールしなのきの皮で作った畳みを敷いて生活する習わしである。

 電気は、村内の自体発電所を利用、各家庭に電球1個だけを吊しておき、夜7時から12時、朝2時から5時までの2回だけ供給している。一部の村によっては、電気すらなく、松油を使用するが、食事時間のみ灯される場合も多い。

 全世帯が共同便所を使用するため、朝には、数十名ずつ列に立って用便を済まさなければならない。干したインゲン豆の葉、葛の葉等を便所紙の代用に使用する。

 冬季には、村の周辺に木がなくなり、かろうじてご飯を炊ける程度に火を焚くため、寒さを払おうと体をこすり、眠れない状況である。水も河川から氷を割って取り、食べている。

◇労働が許されない16歳未満の者には、教育実施

 収容所内の統制区域には、学校が存在する。人民学校は、4年制で、高等中学校は、5年制である。9月に進学が始められ、夏休みと冬休みがある等、一般社会と大きな差がない。

 教育は、学校監督という武装した保衛員の統制の中で実施されている。学生を虫けらのように扱い、冒涜を躊躇うことがない。教育は、家族世帯収容者が多いと見られ、形式的な教育のみを実施し、課外時間と休み期間には、各種作業に一貫している。

 16歳になれば、学業成績に関係なく卒業させ、正式労働人員に編入させる。学生は、朝6時頃に食事をとり、村の前に集合、列を作って歌を歌いながら登校する。学校授業は、12時に終了する。午後の日課は、主として木の採取、トウモロコシ農事、土掘り等に動員される。1人当たりの作業量が定められており、定量を終えられない場合、家に帰さず、延長作業を行わせる。

 教場を始めとして、教務主任、一般教員全ては、保衛部員として拳銃を常に持っている。

 成人は、毎日、独歩会を開催する等、思想教養を持続的に受けている。革命化区域(完全統制区域は、除外)に限り、教育プログラム映画の外、一般映画も時折上映する。

(3)教化所

 裁判を通して刑が確定した者を収監するところを教化所という。教化所は、犯罪者を教養し、共産主義的人間に改造する施設と見られる。

 教化所は、監房生活のみを行う純粋な教化所と労働力を併記する労働教化所に区分される。前者は、平壌、新義州、咸興、瑞興、江界、阿吾地等に設置されている。後者は、会寧、鶴浦、清津、耀徳、成川、フェサン、价川等に設置されている。この内、新義州教化所は、全員女子囚人のみを収容している。

 北朝鮮当局は、教化所収監者中、模範生活者、心身が極めて虚弱な者等、少数の人員を2月16日、4月15日及び数年毎に党創建日、共和国創建日を機に、仮釈放させている。各区域安全部では、仮釈放者を刑期満了時まで厳格に統制及び管理している。仮釈放者は、刑期満了時まで公民権が剥奪された状態で、居住地から4km以上移動時には、安全部(分駐所)の承認を受けなければならない。担当安全員が数回家を訪問し、生活実態を把握し、人民班長・住民をして監視させる。また、月2回、仮釈放者が分駐所に行き、文書・口頭で直接生活報告を行うようにしている。

 生活報告とは、仮釈放された者を統制するため、日々生活の結果(24時間の活動内容、自己批判内容)を文書に記録して報告することによって、居住地近隣の人民の動向内容まで含まれる。仮釈放期間中には、職場配置が中止され、食糧は、600g支給するが、糖菓類等は一切支給されない。

(4)労働教養所

 社会安全部は、逮捕した一般刑事犯や密造酒製造者、闇取引一群等、いわゆる「非社会主義犯罪者」中、重犯罪者は、裁判を通して教化所に収容するが、軽犯罪者は、労働教養所に収容する。即ち、非常習単純窃盗犯や、1,000ウォン未満の経済事犯等、軽犯罪者は、担当地域の安全部長の決定と該当安全部管轄検察所の確認だけで労働教養所に収容されるという。労働教養所は、教化所とは異なり、前科者として処理されない。軽犯罪者に対しては、前科者の量産を防ぐために、できるだけ「労働教養所」に収容し、労働を通して古い社会主義組織生活の土台を改造するように誘導しているという。

 教養所は、各課別に独立施設で生活するようにされている。大体において、アパート(1〜3階)式建物とされており、高さ2.5mのセメント塀の上に棘式鉄条網が60〜70cm程度の高さで設置されている。正門及び裏門には、実弾を装填した自動小銃を持った安全員が24時間警戒勤務を行っている。

 労働教養所の収容期間は、1年だったが、1989年の平壌祝典以後、経済事情の悪化による経済犯罪の急増により、収容限界状況に至るや、1992年、収容期間を 6ヶ月に短縮することにし、「配慮出所制」を導入して早期出所させる等、教養より単純処罰にのみ重点を置いているという。

 

<主要労働教養所現況>

労働教養所の名称所在地主要従事労働備考
11号労働教養所平南甑山郡社会安全部で運営する作業場に投入
22号労働教養所咸南栄光郡
44号労働教養所平北球場郡清川江堤防工事最長1年
55号労働教養所平南順川郡大同江堤防工事俗称半教化所(2年刑)
66号労働教養所平北東林郡青石採取
88号労働教養所江原元山市鉱石採取、農事
99号労働教養所咸南端川市

◇教養所、収容者相互監視体系維持

 「労働教養所」は、課・班・組単位で組織されている。課(300〜500名)は、少年課(満17歳未満者)・女子課・炭坑課・畜産課等に区分され、班(30〜50名)は、課の下部単位として1課当たり10個班で構成される。組(10名)は、班の下部単位として、1個班当たり3〜5個組で構成される。

 1個労働教養所の適正収容人員は、普通、10個課で編成されているため、5,000余名程度である。しかし、住民の生活難関連犯罪の急増と当局の「非社会主義打破グループ」の活動を通したいわゆる「非社会主義者」に対する取締が強化され、6,000〜7,000名に肉薄している状況である。

 社会安全部では、教養所収容者に対する統制のため、基本組織である課長に社会安全部少佐を任命し、1個班に拳銃と自動小銃で武装した2名の安全員を配置する一方、収容者中から班長及び組長を選抜し、自体統制機能を付与している。また、課単位別に宿所歩哨、内部監視者、便所監視者、食堂監視者等、25〜30余名の監視者を置いている。

 特に、最近の収容人員が急増するや、収容者相互間の監視を強化するために、脱出企図者を申告したときには、収容期間を短縮してやり、脱出者を逮捕したときには、出所させてやることまでしている。万一、脱出者が逮捕されれば、班毎に連れてきて、「本人は、殺人罪を犯したにも関わらず、党の寛大な処分により労働教養を受けてきた。しかし、今回、国家反逆罪を犯し、死への道である常習犯管理所に行くことになった。諸君は、私のような罪人にならないで欲しい」という巡回講演を実施した後、管理所に移送する。

◇労働教養所、一般社会より労働生産性が高い

 労働教養所では、収容者を動員し、農場、果樹園、炭坑、牧場等を運営し、労働を通した思想改造よりは、生産量拡大に重点を置き、重労働を強要している。

 従って、労働教養所の各部門別単位生産量は、一般社会の該当部門より圧倒的に高くされている。一般社会の労働者は、日曜日は勿論、他の日は、いわゆる建設節といって作業を中断して休み、平素でも適当に働いているのに反し、教養所収容者は、「教養所労働1年が教化所生活3年と同じ」というくらい、雨が降っても雪が降っても1日も休まず、収容期間中、毎日9〜10時間の重労働に酷使されるためである。

 一方、労働教養所収容者中、労働党員と非党員間の待遇面において厳格な差がある。党員の場合、班長、組長又は監視者に選抜されるか、畜産班、食堂等、食事の解決が可能で、比較的力のいらない職場に配置される一方、非党員の場合、力のいる職場に配置され、栄養失調で死亡する事例までも発生している。

◇生活環境劣悪により各種患者続出

 食事は、毎食インゲン豆150gにダイコン汁しか供給されないため、健康な者でも数ヶ月も過ごせば、栄養失調状態に陥っている。

 服は、混紡で作られた薄い教養所制服1着と毛布1枚ずつだけ支給する。冬季には、大多数の人員が凍傷にかかっている。また、週1回、形式的な冷水沐浴の他に衛生予防が全くなく、シラミ、ノミ、南京虫等が多く、各種疾病が持続的に発生している。また、治療を受けられない患者中に苦痛に耐えられず、五寸釘、毒物、人糞等を食べて自殺する人員が年3〜4名程度発生することもある。

 労働教養所は、自体の病院を運営しているが、重労働と栄養失調により、患者発生率が高く、医療施設が診療所水準に過ぎず、医薬品すら不足し、単に患部を日光に晒すいわゆる「日光消毒」に依存するのみで、その他の治療は、皆無の状態である。病院は、2〜3名の医師が殺到する患者に当たることができず、収容者中から医師出身者を選抜して活用する。手術室と放射線室が設置されているが、薬品不足と電力難によりそれすら利用できないでいる。また、患者の大部分が食事毎にインゲン豆ご飯とダイコン汁で延命した虚弱者や栄養欠乏者であるため、手術途中に死亡することも憂慮され、足が化膿していても、外科的切断手術すら行えず、そのまま死ぬまで放置されているのが実状である。従って、1個教養所の志望者数は、年間40〜50余名に及ぶ。

(5)強制労働集結所

 東欧社会主義圏の没落以後、窃盗、暴力、不和事件等の各種犯罪が気勢を張り、鉱山だけにあった強制労働集結所を1992年から郡及び連合企業所単位毎に設置し、これらの軽犯罪事犯を収容している。強制労働集結所は、社会安全部所属で、「肉体的負担を加えて教化させる」という方針により設置されたものである。

 中隊長は、安全部監察と指導員、小隊長は、力を持ち、思想性が透徹した工場・企業所社労青指導員、政治指導員は、郡社労青委員等で編成されている。

 強制労働集結所収容者は、教養所に収容するには、犯罪が微々たる軽犯罪者として、個人別文件には、犯罪記録が記入されないまま、15日〜6ヶ月程度収容する。1日10点を基本点数とした後、点数を削減する方法で、起床時から就寝時までの全ての行動を監視される。2ヶ月収容者の場合、600点を受けて初めて出所できるように規定されている。

 収容者は、駆け足をするとき、「思想改造」、「不和事件」等のかけ声を叫ばなければならず、便所に行く間でも、監視員が「1」と言えば、「2」と反復して答えなければならないくらい統制が厳しい。少しでも休む暇がないようにするため、鉱山や農村等、人手が必要な地域毎に回っていき、無報酬強制労働を行わなければならない。このように、監視・統制は勿論、強制労役が余りに厳しく、収監経験者は、「2年の教化所がむしろ良かった」、「骨の髄まで抜かれる」等と語り、歯を震わせている。

上へ 价川第14号管理所 耀徳第15号管理所 北倉第18号管理所 会寧第22号管理所 价川第1号教化所 江東第4号教化所 南新義州集結所 清津市ノンポ集結所 犯罪者の収容

最終更新日:2003/11/12

楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル